訪問看護の費用はどちらの保険で賄われる?
訪問看護を利用する際に多くの方が疑問に思うのが、「医療保険と介護保険、どちらが使えるのか?」という点です。
訪問看護は医療保険・介護保険のどちらでも利用できますが、条件によってどちらが適用されるかが決まります。正しく理解することで、費用の見通しを立て、安心してサービスを利用できます。
医療保険と介護保険の基本的な違い
| 比較項目 | 医療保険 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 病気・けがの治療 | 要介護状態の方の生活支援・療養支援 |
| 加入方法 | 自動加入(国民健康保険・健康保険など) | 40歳から加入 |
| 給付の前提 | 医師の診療・指示 | 要介護・要支援認定 |
| 自己負担 | 原則3割(年齢・所得で1割〜) | 原則1割(所得で2〜3割) |
医療保険が適用される訪問看護
医療保険が優先される条件
以下のいずれかに該当する場合、介護保険ではなく医療保険が訪問看護に適用されます。
①要介護・要支援の認定を受けていない方
②40歳未満の方
介護保険は原則として40歳以上が対象です。
③厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)に該当する方
- がん末期
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 脊髄小脳変性症
- パーキンソン病関連疾患(ホーエン・ヤール3度以上かつ生活機能障害度2度以上)
- 人工呼吸器使用中の状態 など
④特別管理加算の対象となる状態(別表第8)で週4回以上の訪問が必要な方
点滴注射・中心静脈栄養・褥瘡(重症)・気管カニューレ・留置カテーテルなど、特別な管理が必要な状態で月14日を超える訪問が必要な場合。
⑤精神科訪問看護
精神疾患に対する精神科訪問看護は医療保険が適用されます。
医療保険での費用の目安
通常の訪問看護費用は、月に複数回訪問した場合の合計で数千円〜1万円程度になることが多いですが、加算(緊急・深夜・特別管理など)によって変わります。
医療保険の制限
- 訪問回数:原則週3回まで(別表第7・8の疾患は週4回以上可)
介護保険が適用される訪問看護
介護保険が適用される条件
要介護1〜5、または要支援1〜2の認定を受けている方で、医療保険優先の疾患・状態に該当しない場合は介護保険での訪問看護となります。
65歳以上の高齢者の多くは介護保険でのサービスが基本です。
介護保険での訪問看護の費用(1割負担の目安)
| サービス区分 | 時間 | 費用(1回・1割負担目安) |
|---|---|---|
| 訪問看護(准看護師以外) | 20分未満 | 約310〜320円 |
| 訪問看護(准看護師以外) | 30分以上60分未満 | 約810〜820円 |
| 訪問看護(准看護師以外) | 60分以上90分未満 | 約1,130〜1,150円 |
| 訪問看護(理学療法士等) | 20分 | 約290〜310円 |
介護保険の上限 介護保険には要介護度ごとに「区分支給限度額」があり、他の在宅サービスと合わせて管理する必要があります。
介護保険での利用の流れ
- 要介護・要支援認定を受ける(市区町村に申請)
- 担当ケアマネジャーを決める
- ケアプランに訪問看護を組み込む
- 主治医に「訪問看護指示書」を発行してもらう
- 訪問看護ステーションとの契約・サービス開始
高額療養費制度の活用
医療費が高額になる場合は、高額療養費制度を活用できます。1か月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が払い戻されます。
あらかじめ「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払いを限度額内に抑えることができます。
まとめ
医療保険が適用されるケース
- 要介護認定を受けていない方・40歳未満の方
- 特定の難病・末期がんなどの疾患(別表第7)
- 精神科訪問看護
- 週4回以上の頻回訪問が必要な特別管理対象者(別表第8)
介護保険が適用されるケース
- 要介護1〜5・要支援1〜2の認定を受けており、上記の医療保険優先条件に該当しない方
どちらの保険が適用されるかは条件によって自動的に決まります。不明な点は訪問看護ステーションのスタッフや担当ケアマネジャーにご相談ください。